【手放すこと】

写真はナポリタンのケーキ。
水分はトマトをペースト状にしたもの、そこに炒めた玉ねぎとピーマンを入れて、ちょっと塩味強めにした甘ジョッパイ系。
私はこういうちょっと変わったお菓子を作るのが大好きです。
最近は気持ちの余裕がなく作れませんでしたが、ちょっとずつ取り戻してきてる2022年夏。

今日は10年前、私が開業するきっかけになった鬼子母神の手創り市について書こうと思います。

私はお店を構える前に7年ほどほぼ毎月出ていましたが、3年前にお店を構えることになってから少ししてからコロナががやってきて、手創り市も開催できずにいました。
そして9月、再開とな!
良かったね、ほんと良かった!

このイベントは関東で一番古いハンドメイド系イベントで、主催者が応募者選考をして出店者を選んでいるからイベントのトーンが揃っていて、商品のレベルが高い。
出店者は全国からいらっしゃるほどアツいイベントです。
食品から陶器やガラス、アクセサリーや布物などいろんな「作家」が自ら販売するイベントで、自店を構えていない人も多くいます。


当時の常連さんや出展者仲間から
「9月の再開後、つくりてさん出る?」
と気にかけて聞いて下さった方も多いのですが、私は出ません。
申し込みもしませんでした。

理由は2つ。
1つ目、「私には売場があるから
このイベントに参加するためには、食品出店は製造許可取得が必須だけど、お店を構えている人は一部。
私は偶然にもお店を構えて半年後にコロナが蔓延して社会活動に規制がかかることになり、コロナ禍のこの3年間は自分のお店で製造販売し、その活動でなんとか生計を立てて暮らすことができました。
催事やデパートポップアップの機会もいただき、恵まれていたこと極まりない。
一方、お店を持たずイベントのみで営業していた人はアルバイトをしたり、一旦違う仕事に就いたり、
「お菓子やパンを作って販売したくてもできない状況」
だったのを知っています。
だから、この手創り市は
「今は売場がないけど、これからお店構えるぞ」
みたいな人が活躍する場であって欲しいと思っているので、私は出るべきでないと判断しました。
もちろん主催者さん側の気持ちは別にあるだろうけど、
貴重な出店枠をつくりてが一つ奪ってしまうのかと思うと、心苦しくて申し込めませんでした。

2つ目、「過去に執着しない
私はこの手創り市が大好き。
4年前に台湾のマーケットに「鬼子母神手創り市を連れてきたい」と直談判して実行したのも、好きだから。(台湾の好好marketも大好き)
しかし、お菓子屋としてこの手創り市で出来る事はやりきったという感覚もあります。
お菓子も什器も毎回試行錯誤で、とにかくどうしたらお客さんと楽しめるかを考えて7年もやってりゃ、そりゃね。
考えられる事はやりきったと言い切れます。
客観的に見たら、今私が「出たい」と思っている理由は、出店者さん達やお客さん達に会いたいとか、またあの場所に立ちたいとか「過去の焼き直し」に過ぎないなと。
過去に縋る生き方は先細りしかないから、新しい事にチャレンジしていった方がいいと思う。
郷ひろみだって、お嫁サンバを歌うだけじゃなくて、新曲をせっせと出してるもんね。
私はそういう生き方をしたいなと思っています。

少し話はそれますが、
私は20代前半の頃、建築を学んでいたころにとある業界に学生ボランティアとして入ったことがありました。
超難関の資格を取得してその業界に入っても、それを活かせる仕事口はとても少ない。
テレビなどのマスメディアに出て華やかな印象だけど、その枠はとても狭くて、年配の人がずっとその『メディアに出られる枠』に居座っているから若者が入り込む余地がないことが問題だという話も聞きました。
あれから20年経った今でも、同じ人が同じ枠で出てるのをみると、もやもやとしたものを感じざるを得ないのが私の本音。

今私は40歳を目前に、そうはなりたくないなと思うのです。
私なんざ全然知名度もないし、小さいお店だけど、
売り場はお店×2、商業施設の催事、たまにデパートポップアップと販売する機会に恵まれています。
運がいいということに尽きるわけですが、
だとしたら、楽しいからってまだそこに居座って、これから頑張るぞというやる気のある若人の活躍の場を奪う可能性のある事はしたくない。


今私が考えるべきは、お店のこと、通販のこと、そして催事やポップアップのこと。
ちなみにまだまだスタートラインで、手応えなんてじぇんじぇん感じられていません。
おかげでお店や通販や催事で『やりきった』と思える日は遠い彼方なので、まだまだやりごたえたっぷりです。

そして今すでに時間とエネルギーが枯渇してパンクしてるのだから、今必要なのは
「手放すこと」
やらないことを増やして、やるべきことにもっと注力したい。
これまでやってきたことを一旦手放して、新しいことにチャレンジしたい。
(もちろん軸はブレずに)
そんなことを考えています。

と、ここまで読むとかっこいい風ですが、
本音言えば、後ろ髪すんごい引かれてるからね。
襟足を刈り込んで、後ろ髪引っ張れないくらいにするんだジョー!