今日はカナダ旅の続き。
ブログを見てくださった方や友人がおそらく疑問に思っているであろう、
” カナダで會田由衣は何をやってきたのか “
という疑問にお答えしようと思います。
簡単に言うと
「私が実際に見た自然をイメージして作ったレシピのデモンストレーション」
です。
見た目、味、香りなど五感を味に置き換えてレシピを作っていきます。
食材はカナダ、台湾、そして日本のものを使い、できるだけシンプルに素材の味を生かすことを考えました。
そして出来上がった5品がこちら。
1つ目、海。
カナダのガリアーノ島で見た海をイメージしています。
浅瀬の石→竹炭と黒酢を使ったクッキー
磯っぽさ→青のり
夏の海→ココナッツオイルの香り
夕焼けの海→そうめんかぼちゃ、ブルーベリー
手順としては、クッキーを焼いて、茹でたそうめんかぼちゃにオイルと塩をまぶし、ブルーベリーを潰し、盛り付けていきます。
蒸したそうめんかぼちゃは自然な甘みが特徴なので、それを最大限に引き出すためにすこーし多めの塩とココナッツオイルをまぶしています。
ブルーベリーは加熱すると酸味が飛んで間の抜けた味になってしまうので、軽く潰すのみ。お砂糖は加えず、ジューシーさ&ほの甘酸っぱい仕上がりです。
2つ目、草原。
バンクーバーのクイーンエリザベス公園の広大な草原をイメージしています。
風に揺れる草→ディル(ハーブ)
お花の甘酸っぱさ→梅干しとメープルシロップ
草を噛んだ時のほろ苦さ(土っぽさ)→ビーツ
お花 →干し菊
手順としては、ビーツを茹でて、輪切りにして、盛り付けて、メープルシロップをかけます。
ビーツは良くも悪くも、少し土っぽい味がするお野菜です。
それを隠そうとするレシピがほとんどですが、私はそれを前面に出そうと思いました。
しかし土っぽい後味が残るのは嫌なので、メープルシロップをプラスして全体をマイルドに仕上げています。
3つ目、土。
台湾の新竹で見た苔の生えた土をイメージしています。
滋味深さ→味噌とココア
湿っぽい→うぐいす豆餡(苔に模しています)
木の周りの香り→マッシュルーム
手順としては、クッキー生地を作り、塩を振りかけて少し水切りしたマッシュルームを乗せて焼き、あんこを苔のように盛り付けていきます。
このレシピだけは、日本にいるときから考えていたものでした。
そして日本で1回試作してカナダへ行ったのですが、
日本とは比べ物にならないほどのマッシュルームの味の濃さに直面。
そこで塩を振りかけて、少し水気を抜いてからクッキーの上に乗せるレシピにしました。
4つ目、空。
モルディブで見た、どこまでも続くような空をイメージしています。
(奥行きが深いというよりも、薄い膜が張っているような空)
清々しさ→バタフライピーティーの透き通ったブルー
さーっと広がる様子→大きく真っ平らに広がった豆花
手で掴めない→固まり方が弱い豆花のフルフル感
日没で色が変わっていく様子→レモンジュースを注いだ時に変わる色
(Wendyが撮ってくれた動画がこちら。)
手順としては、豆花(台湾の豆乳プリンみたいなおやつ)を豆乳ではなくアーモンドミルクを使って大きなバットに作り、バタフライピーティーを淹れて青を抽出して、豆花の上にかけ、最後にレモン汁を絞ります。
5つ目、太陽。
スリランカで見た真っ赤な夕方の太陽をイメージしています。
強さと燃え盛る様子→ビーツ、七味唐辛子
手順としては、ビーツを蒸してペーストにして、それを練りこんだクッキーを焼き、上にビーツペーストを乗せ、七味唐辛子をかけます。
今回は素材の味をそのまま活かすことを一番に考えていたので、できるだけお砂糖は使わないレシピにしようと考えていました。
” スパイスやチリなど辛いものを少しプラスすると甘みが引き立つ ”
という私の中の公式に則って、七味唐辛子をプラスするレシピになりました。
レシピは以上の5品です。
私が当日用意したスクリーンに映したPDFに私が話したコメントを加えたものがこちら。
英語のみですが、私がわかる程度の簡単な英語なので詳細が気になる方はご覧ください。
ちなみにこの資料を作ってくれたのはオグー。
2年半ほど前にお客さんとして知り合ったのがきっかけで、
それからリーフレットを作っていただいたり、
zineに掲載してくださったり、
オグーが開催するイベントに参加させていただいたり、
お世話になりまくっている兄さんです。
取材や撮影でバッタバタの疲労困憊だった8月中旬、まだイベント本番まで2週間ほどあるのに、
「数日後までに資料を作って。」
とスタッフに言われ、どうにも時間が作れないと判断した私はオグーに連絡をしました。
すると彼は快く引き受けてくださり、夜なべして資料を作ってくれたのです。
私が送ったデータが全然まとまっていなかったから、さぞかし大変だっただろうに。。。
しかも
「會田さんが頑張っているのを見て、僕も頑張ろうと思いました。」
と言ってくれる神対応。
改めて、私はできることをやりきって日本へ帰ろうと心に決めた出来事でした。
私がカナダの本番でやってきたことは、ざっとこんな感じです。
なんとなく雰囲気だけでも伝わるかしら?
私一人の力ではなくて、スタッフ達と力を合わせて、改良を重ねて出来上がった作品です。
寝食をともにして、お互いのことを理解して、認め合えたからこそできた作品。
出来上がったレシピやデモの流れなど完璧とは程遠いものですが、その時のベストは尽くしたので後悔はありません。
スタッフのみんなと私はやれるだけのことをやりきったと言いきれるんだから清々しいもんだ!
この後のブログではバンクーバー本番についてもう少し書こうと思います。