【お菓子屋ができること】

今日は先日の台風のお話。
お菓子とは直接関係はないのですが、自分の仕事を改めて考える機会だったので、健忘録として書きます。

台風直撃の日、お店は臨時休業としていました。
雨風の強い中でお客さんが転んで怪我をしたりしたら大変だから、というのがその理由。
正直言うと、私自身はそこまで危機感なく、
「いつも通りの台風でしょ。」
くらいに思っていました。
しかし今回は違いました。
長い時間、雨が降り続いたことで近くを流れる川の水位が上昇。
渉がネットで水位を見ていると、ぐんぐん上がっていく。

基本的に渉は心配性なので、そこまで気にすることなのかと思っていたのですが、
まだ台風が来ていないのにダムの水量はかなりの量だし、これは危ないかもしれないと思いつつ家にいました。

そして夕方早く、川の様子を見に行った時の様子が1枚目の写真。いつもより全然高い水位で、茶色い水が流れてる!
災害時のこういう映像はTVでたくさん見てきました。
その時はその時なりに恐ろしいと思っていたのですが、
生で見ると本当に恐怖。
この川は昔氾濫したこともあり、この辺りにずっと住んでいる人からしたら、
「まだ大丈夫。あの時ほどではない。」
というレベルらしいけれど、私はとてもショックを受けました。

もちろん、厚木のこの土地は水害のリスクが高いことは知っていたのですが、
自分が実際に水害の恐怖に晒されるということは想像できていなかったようです。
自分がもやしっ子だと痛感するの巻。

それから相模川上流の計画放流が決まり、放流されたらここもまずいと判断。
店舗の床面に近いものを上に上げ、機器類のコンセントを抜き、ブレーカーを落として、
家の猫たちをつかまえ(元野良なのでものすごく大変)、近くの渉の実家へ合流しました。

そこで20時半頃、水位を見ながら作戦を立て、
「このペースでここまで行ったら、一旦車で上の方まで退避だ。」
と話していたら、徐々に水位の上昇が収まり、計画放流の実施後も水位があまり上がらなかったため自宅へ帰宅。
猫たちも思ったよりもショックはなかったようで、すぐにご飯を口にしていたのでめでたしめでたし。

当日の様子はこんな感じでした。
そこで私が感じたこと、まずは
「目の前の現実がピンとこないこと」
TVで災害の様子を見て、私なりに危機感を持ち心を痛めていたはずなのに、
実際に茶色い水がだくだく流れる川を見たとき、思考が停止してしまいました。
自分が自然災害の危機に晒されていることが現実とは思えませんでした。

そして2つ目、
「判断できないこと」
普段の私は決断が早く、迷うことはあまりないのですが、
この未体験の事態に対してどう行動すればいいのか判断できませんでした。
一方、いつも優柔不断な渉は初めての経験じゃなかったせいか判断ができていました。
経験がモノを言う、そんなことを体感しました。

3つ目、
「猫たちの大切さ」
渉が野良猫を引き入れて猫と一緒に暮らし始めるまで、猫なんて興味のなかった私に、
「猫たちの安全を確保せねば」
という気持ちが生まれました。
猫と暮らすまでは
「ペットは家族」
という人の気持ちがそこまで理解できなかったのですが、今は心の底からわかります。
避難する時も、人間のご飯はどうにかなるだろうから、猫のご飯を持って行こうと思いました。
やっぱり我が家の猫は家族だわ。

4つ目、
「お菓子屋として何ができるのか」
地域のお菓子屋として、災害時に私は何ができるんだろうと考えるきっかけになりました。
単純に、ドライフルーツやナッツなどそのまま食べられる食材ストック、パッケージされた賞味期限の長いお菓子の在庫はあるので、
災害時にはそれを提供できるなと。
おにぎりやパンなど、お腹を満たすためのものは市や自治体から配給されるだろうけど、
嗜好品である甘いものは不足するだろうから、ある程度の役には立つだろう。
甘いものは人をホッとさせてくれる力があるからね。

加えて、災害時だけでなく通常時も社会貢献できる場面があるんじゃないかと。
仕事としてというよりも會田由衣としてどう社会に貢献できるのかを考えるきっかけとなりました。

そして、今回の台風では私の生まれ育った東京でも大きな被害が出ました。
世田谷で水害が起きるだなんて、にわかに信じがたい。
人間が作ったものが自然の脅威に勝てないのはわかっているけれど、やっぱりまだ信じられないよ。
ニュースで各地の被害状況を見るのが、こんなにも辛いのは初めてでした。
我が家は結果的に被害がありませんでしたが、やはり危険にさらされるという経験は心に深く刻まれたようです。
大震災や大災害を経験した人は本当に辛いんだろうな。

これからの人生の中で同等の自然災害は起きるだろうけど、
今回の経験を踏まえて、その時のベストを尽くそうと強く思っています。