【お金は道具か目的か】

写真は催事中の冷蔵庫の中の様子。
ブリオッシュとスコーンは生地を仕込んだ後、冷蔵庫で1晩発酵させてから成形、2次発酵させて焼き上げるので、冷蔵庫はパンパンになります。
パンパンになるほどに、私は製造に集中できることのありがたさを感じております。
人から見て苦行のように見えるかもしれませんが、私は「ベーキングハイ」みたいな状態になって楽しんでいます。
催事の醍醐味を満喫。


今日は少し前のこと。
私より一回り以上、年下の方と話す機会がありました。
彼は会社員をやっているのですが、
「先輩が個人事業主としてやってる仕事は、僕が今やってる仕事に比べて拘束時間が半分くらいでかなり稼げるから転職しようかなぁと。個人事業主ってどうですか?」
と聞かれました。

私自身は組織に属せる資質がないことを体験した後で、個人事業主として今のお菓子屋を始めました。
ただ個人事業主を取り巻く環境は組織に所属している人より良くないので(いろんな場面で信用や保証がないことを痛感する)、つくりてを法人化できるところまで頑張って法人化しました。
今ある組織に属することができないなら、自分で組織を作るしかない。
だから個人事業主をお勧めするかと聞かれたら、答えはノー。
聞かれることも多々ありますが、
「嫌だと言いながらも組織に属せるのは才能だよ。尊敬する。」
と言っています。
これは本音です。


彼は単純にお金がほしいというので
「なんでそんなにお金が欲しいの?」
と聞くと
「お金はいくらあっても困らないじゃないですか。1億円貯めたいです。」
と。私は
「まぁ、あっても困らないけどね。」
と返した後、言葉につまりました。

自分ひとりで事業をやると、経理、事務作業、連絡、交渉など、事業内容以外のことに割く時間も多いから、労働時間が減るかというと、そうでもないと思う。
むしろそれらが不得意な場合は時間と気力を奪われる。
外注するならそこに費用もかかる。

そして彼は先輩から売上を聞いて稼げる仕事だと思ったようですが、
そこから税金や経費を引いたら、手元に入るのは売上の半分くらいになるのではと推測ができる。
また、その先輩が
「売上◯◯万円くらい稼いでる」
と言った数字が本当だとしたら、個人事業でやっていたら税金が高すぎるから法人化しないとアホらしいレベルなので、その数字が本当かどうかも怪しい。
加えて、41歳からみて、彼が転職しようと検討してるその仕事で1億円は貯められないだろうと言うことは明確。
もしお金を稼ぐことを目的にするなら、その転職はいい選択とはいえない。
もう少し長期スパンで考えて、逆算して、視野を広くもって転職先を探した方がいいと思う。
そんな考えが一瞬にして頭を駆け巡った結果、私は言葉につまった、というわけです。


彼の年齢は、私が
「手に職をつけるぞ」
と決めて脱サラしてお店に転職した年齢。
周りよりだいぶ遅いスタートは自分と重ねて考えてしまうところもあり、変な親心みたいなものも働いてしまいます。


そもそもの話をすると、私は、
お金はあくまで自分を含む誰かの力になるための道具であって、目的にするものなのか。」
と疑問に思っています。
もし、お金がほしくて転職して1億円貯めたとする。
生活水準が上がって、支払いが増えて、結局は1億貯めても足りない、今と同じように将来が不安だと感じるのは目に見えている。
お金はキリがないし、必要以上に振り回されないようにしないと身を滅ぼすと私自身にも言い聞かせています。


それより
自分が人より得意な事、人は努力と感じるけど自分は努力と感じない事は何かを見つけて、そこにまっしぐらに進めば、お金では得られない充足感と、暮らすには困らない程度の稼ぎが結果的についてくる。
と思っているし、信じています。


この一連の話を渉に話し
「でもこれを今の彼に話したとして、こんな意見は求めてないだろうし、伝わらないと思う。」
と言ったら
「だとしても、それは伝えてあげた方がいいんじゃない?」
と。
母にも話したら、同じ答えでした。
年も職種も全く違うのにこうして話しているのも縁だから、何か彼の人生のヒントになるようなことを言えたらいいなと思いつつ、
話す機会がくるのを待とうと思うのでした。