【現実を正しく把握する】

写真はあんこスコーン。
発酵生地の間にあんこをサンドして、ココナッツをトッピングしたおやつ。
小さなお子さんも食べやすいようで、厚木店のベンチで食べている様子を見て嬉しくなりました。
公園みたいなこの感じ、いいな。

今だから話せる、3月頭のこと。
私が把握できてないところでメディア露出が重なったようで、厚木店がパンクしました。
状況が分からず、お客さんに聞いてなんとなく理解したものの、催事用に作りためたお菓子を出し切っても、次から次へとお客さんがいらっしゃる。
そして常連さんがいつも通り来てくださった頃にはクッキー一枚もない。
店頭で渉と2人、謝り続ける。

翌週末に向けて朝から晩まで毎日作り続けるも、状況は変わらず。
そしていつも参加している催事は慢心で臨むことになる。

「嬉しい悲鳴ですね」
と言われたりしましたが、本人は
「何やってんだろ、私」
とかなり落ち込みました。
疲労も相まって、この数年で一番の凹みっぷり。
お客さんに喜んでもらいたいのに、
常連さんをがっかりさせてしまい、初めてのお客さんも満足に選べるほどのものを用意できず、お世話になってる催事にも万全の体制で臨めないからとお客さんに喜んでもらえない。
常連さんは
「いいのよいいのよ。よかったね。」
と仰って下さる温かい方ばかり。


地元のマルシェでは限界量を用意するも午前中に売り切れてしまい、私は仕込みと店舗の販売サポートのためにトンボ帰り。
お客さんと出店者さんとマルシェを楽しみたかった。
売り逃げみたいでほんとに私ヤダなと。
主催者の兄さんには
「忙しい時は仕方ないよ。かっこよかったよ。」
なんて気遣いまでしていただいちゃって。
そんな悶々とする中、製造しすぎで業務用ミキサーが故障し、私の腰もやられてしまう。(砂糖1袋30kgなど、重いものを持ち上げる機会が多い職業なので、疲れると腰痛が復活してしまうのですな)
徐々に私の心身が悲鳴をあげ始める。

そして
「週末しか営業してないんですか?」
という何気ない一言に
「寝る時間以外ひたすら作ってるのに、これ以上どう頑張ればいいんだろ。」
と絶望感すら感じてしまう。
一般的なお菓子屋は毎日営業していることがほとんどだから、お客さんがそう感じるのは至極当然なのは分かりつつ、自分の至らなさを感じ、自責の念にかられるの巻。

そして、そんなボロボロ私の状態を察知した渉がシール貼りや発送管理、そして得意ではない接客も自らやってくれるようになりました。
「1日10分でも外に出てお日様に当たりなさい」
とお茶を持ってきてくれる。

4月頭現在、お店が少し落ち着いてホッとしている自分がいます。
イケイケドンドンを乗りこなすべき商売人としては失格だけど、単純に「1人製造の物理的限界」を完全に越えたんだと、事実を正しく認識できるまでに自分を取り戻せました。
友人や通販のお客さんからの個別のご注文にも応えられる気持ちの余裕が出来て、少しづつ自分を取り戻してきています。
1日17時間製造で追いつかないなら、
商品構成の再考、手数を減らすレシピ作りをしよう、この夏の課題にしよう。
ここをクリアして、次の段階に進む準備をしよう。
今もこんな製造の状況は続いていますが、そう思考が前を向けるようになり、心が安定しました。

あー、久しぶりに心身ともにしんどかった!
大学院中退した時の次にしんどかったね。
心を取り戻したから、もう大丈夫。


辛い最中には周りにこんな話をしないのですが、察して労りの言葉をかけてくださったお客さんや友人、イベントでお会いした皆さんの言葉にどんなに救われたことか。
そして渉にもたくさん迷惑をかけました。
私も誰かのピンチを察知して声をかけられる人になりたいです。

これから4月中旬に国分寺丸井2週間出店、
5月は頭から催事が3つ続きますが、お客さんの「頑張って」に背中をグイグイ押してもらっているおかげで楽しみに思えています。
早く始まっておくれ!

忙しいという字が「心を亡くす」という字で成り立っている事、そして「周りに生かされている事」を実感した39歳春。
誰しもが頭では分かりつつそのドツボにハマる経験をすると思うのですが、状況を正しく把握できているか、そんな事を頭の片隅においておくと良いのかなと。

これを読んでくださっている皆さんもお気をつけあれ!