今日はお菓子とは全然違うお話。
近隣の方に聞かれることが多いので、書こうと思います。
1月2月と厚木店の近くで映画の撮影があり、
撮影日は定休日だったので、
お店の売り場側をスタッフさん達の休憩所として開放しました。
(お店が映るわけではありませんのであしからず!)
12月終わりにご依頼があり、このコロナ禍でリスクが大きく悩みましたが、製作の方が毎日のように近隣への挨拶に来ていた姿を見て
「毎回終わった後に掃除消毒を徹底して下さるなら。」
という条件で引き受けました。
住宅街ど真ん中で、他に休憩できるところはないしね。
私は売り場を貸している間も製造室でずっと作業していたのですが、途中
「今日ってお菓子買えますか?」
と在庫があったお菓子を買って下さる方々もたくさんいらっしゃいました。
(ちょこっとですが、初日に厚木のいちごを使った写真のお菓子の差し入れもさせていただいたよ。)
その時に
「お役目は何ですか?」
と伺うと
「照明です」
「制作です」
「エキストラです」
「プロデューサーです」
「警備です」
「メイクです」
「スタイリストです」
「機材の運搬です」
「雨降らしです」
などなど、沢山の役割の方がいらっしゃること!
2時間ちょっとの映画がこんなにたくさんのプロ(50人くらいだそう)によって作られているんだと目の当たりにしました。
しかも雇用形態もそれぞれで、多くは個人事業主というところに驚くの巻。
「エキストラとメイクもできます。」
みたいな1人2役できる人がいたら重宝されるんじゃないか、なんて思っちゃった。
最終日はクランクアップの日で、隙間時間に
「食べたいと思ってたんです」
とお菓子を買いに来て下さるスタッフさんが多くて、人の優しさにたくさん触れることができました。
皆さん朗らかにお話しされてて
「もう同じチームで仕事をするってことはないから寂しい」
と仰ってる方も。
確かにあんなに朝早くから遅くまで一緒にいたら、そうなるよね。
私もカナダで2ヶ月弱一緒にプロジェクトをやったメンバーと別れる時に大泣きしたもんな。
この別れを頻繁に経験するなんて、私にはしんどいな。
お話を伺うと、やはりスタッフさんたちは映画が好きでこの業界に入ったという方が多い。
好きじゃなかったら、あんなに過酷な環境で長い時間お仕事できないもんな。
私もお菓子作りが好きで焼菓子屋をやっているから気持ちは通づるところがありました。
でも私、邦画も大好き。
大大大大大好き。
開業してからは時間を取れていませんが、20代はミニシアター系から大衆系まで、映画館とレンタルビデオで邦画(+海外のミニシアター系映画)をみまくり、何度となく救われて今に至ります。
その時代の邦画は全て見たと言っても過言ではない!
邦画って余白があるから、こちらが思いを巡らせられるから好きなんだよなぁ。
今回、休憩にいらしたスタッフさんに
「お役目はなんですか?」
「僕?監督です。」
というビックリな一件もありました。
私はお顔は存じ上げていなかったのですが、お名前と彼の作品は観ていたので
「あー!!!私、◯◯も××も見ました!」
と興奮気味に話したら
「嬉しいです。」
と少し照れておられて、彼はほんとに映画が好きなんだなぁということが伝わってきました。
「大好きな邦画の制作の場にこのような形で一端でも担えたことを光栄に思っています」
とお伝えできてよかった!
で、つまり何が言いたいかって、
「好きなことへの関わり方は一つじゃない」
ということ。
映画が好きなら、映画を作る側に回るもよし。
でも今回のように間接的に関わることもできる。
今回は偶然の出来事でしたが、やはり好きだ好きだと言い続けていると、縁はできるんじゃないかと経験的に思っています。
また好きなものに関われているのに、気付いていないパターンもある。
例えば
「設計業務をやりたくてこの会社に入ったのに、イベント運営業務に配属されてていやだ。」
みたいなパターン。
「空間を創る」という観点で見たら、イベント運営も設計。
「あたしはコンクリートや木材、鉄筋で作りたいんだ!」
という方も中にはいると思うのですが、場を創るという観点ではイベントも設計も同じ。
好きな物に関われているのに気付いていないのは視野の狭さが原因で、周りの環境のせいではないと思うのです。
私の例を挙げると
「みんながワクワクする場をつくりたい」
という気持ちを20年以上ずっと持ち続けています。
学生時代は「建築」でそれを叶えようと思っていましたが、今は「お菓子」を通してお店、イベント、デパート出店、台湾やカナダでの活動で叶えていきたいと思っています。
もし私が
「どうせ私は大学院中退だし。ちぇーっ!」
って思ってたら、お菓子を通してワクワクする場を作ることなんてできっこない。
そういう機会にも恵まれないでしょう。
環境のせいにすることは簡単だけど、自分自身が変われば環境も変わるし、そもそも恵まれた環境をポンと与えられることなんかないんじゃないかしら。
大切なのは「ちぇーっ!」って心腐らず、いかに健やかにいられるかだと思う今日この頃です。
最後にくっだらない余談。
最終日に監督がお菓子を買いに来て下さったのですが、おでこに冷えピタを貼っていて
「体調悪いんですか?」
と聞くと
「いや、さっき機材にぶつけちゃって」
と。
私は何の戸惑いもなく
「かわいそうに」
と言ったら、その周りにいらしたスタッフさんが少し驚いた顔をして私を見ました。
その瞬間、
「あ、監督にこんな口の聞き方をする人はいないんだ!」
と気付くの巻。(ご本人は全く気にする様子はなく、気さくな方でした。)
私の中では尊敬の念は前日にお伝えしていたし、お客さんとお菓子屋は人と人として対等だと思っているので、いたってナチュラルな接し方だったのですが、
あとで渉にその話をしたら
「ローラみたいな感じだったのかもね」
と。
オッケー!!!