【商品だけで売れることを目指したいよね】

これは4年くらい前に言われた言葉。
それまでのTSUCURITEは” 自分で手売りするイベント販売 “をしてきました。
私自身、お客さんとのやり取りが好きでその形態をとっていたのですが、
機会に恵まれて” 商品を納品して販売はプロにお任せする “という商業施設催事に参加するようになって1年くらい経った頃でしょうか。

その頃の私は、
「厚木にお店を建てる」
と決めた頃でした。
自分でも予想しなかった展開に気持ちがついていかず、漠然とこのままのやり方ではお客さんが喜んでくれるお店にはなれないだろうと焦燥感に駆られていました。
同時に商業施設催事でもその催事全体の売り上げに貢献することができず(売り上げが上がらないということは、お客さんの喜びに繋がっていないという事。)、暗中模索もいいところ。
TSUCURITEをずっと見てくれている人はご存知のオリジナル箱を作ったのがこの頃でした。
今だからいえますが、箱だけで原価500円って、ちょっとどうかしてるよね。
いいと思うものを追求して作るのはいいことだけど、お客さんにそれだけの価値を提供できているのかというと、そうではなかったと今は言い切れます。
これはこれでいい思い出、一度経験して良かったと思っておりますがね。

そして催事の現場に行った時、主催者の人に漠然とTSUCURITEの将来の話をした時、
「商品だけで売れることを目指したいよね」
と言われて、
「そうだな、納得」
と素直に思ったのを覚えています。

彼が何が言いたかったのかというと、
「製造も販売も一人でやるのは限界がくる。生業としてやるなら、他のスタッフが作ったり売ったりしても、どんな場所でも、由衣さんがいなくても、商品だけ置いても、お客さんに喜ばれる商品作りをすることが大事。」
ということでした。

ぐうの音も出ないとはこの事。
その時の私にぴったりなアドバイスでした。

そこからご年配の方でも、お子さんでも、男性でも女性でも、自分用でもギフト用でも喜ばれる、使い勝手のいいお菓子ってなんだろう、
加えてTSUCURITEらしさってなんだろうと考えながら新作を出し続けました。
それまでは「私が作りたいもの」「私が美味しいと思うもの」が考える時の中心だったので、
デパ地下や他のお店の商品をリサーチして、世間的にはこういうものが喜ばれるのかと勉強。
本当なら最初から考えているべきことが後回しになっていたのは、私の独自すぎるマイペースさの賜物ですな。
そして3年くらい経った昨年秋、ブリオッシュシリーズを発売しました。


すると想像以上に喜ばれ、ギフトとして使ってくださることも多くなり、
「少し答えに近づいたのかも!」
と実感しました。
そして催事での販売数もグッと増え、渉には
「やっと報われたね」
と言ってもらえたのは一生忘れないでしょう。


もちろん店頭や催事に自分が立って直接お客さんに販売するのは大好きです。
1日スナックをやりたいと言っているほどだもの。
そしてお店も催事も、まだまだ諸先輩方のもつ” お客さんへのワクワクお届け能力 “には遠く及びません。
お店だって暇な時はあるしね。
ただ時間と体力は有限だから、バランスを取りながら、その瞬間の精一杯の力をもって、もっとたくさんの人に喜びや楽しみを感じてもらえるような物作りに尽力していこうと思います。

ちなみにこの一言をくれた彼、もしこの話をしたら
「そんなこと言ったっけ?」
っていう確率100%だろな。
こんな良き仲間に囲まれて、TSUCURITEは創られていくの巻。