【私目線の催事とマーケットの違い】

写真は昨日まで開催していたパンタスティック!!@広島パルコでの様子。
私もちょこっとお邪魔してきました。
感謝感謝の旅については、また後日。
今日は最近私が感じたことについてつらつらと書こうと思います。

私の開業のきっかけはマーケットでした。
遊びに行ったとき、
「私、これに出るしかないな」
と直感的に思って開業準備を開始しました。
我ながら直感に素直に、猪突猛進な決断。
なぜかはわからないけど、私はとにかくマーケットが好きなんです。

そしてマーケットにも慣れてきた頃、催事に出る機会に恵まれました。
初めて参加した時から5年くらい(?)たった今、やっと自分の中で催事を楽しめるようになってきた気がしています。
台湾でマーケット運営側に立つ機会もいただき、いろんな角度から体験することができたことも、その変化の大きな要因かもしれません。

今日は私目線の催事とマーケットの違いについて。

まず両方ともに共通するのは、


1、「来場者が楽しめるコンテンツを作ることが第一優先」


出展者、運営さん、主催者さん、それぞれが自分の得意分野をもって、いかに来場者を楽しませることができるかに尽力すること。
自己顕示欲を満たしたり、自己利益をあげるためじゃなくて、お客さんがワクワクできるものを作ることが大切。
もちろん自分の商品には自信を持っていますが、独りよがりでお客さんが楽しめなきゃ意味がない。
媚びているわけじゃなくて、
「作り手も納得、お客さんも納得」
なものを作ろうという意味です。
そして私もお菓子屋で生計を立てている身としては売上をあげることは大切ですが、
 お客さんがわくわくするものを作る → 自動的に売上が伸びる
というロジックなので、最初から売上を上げることを目標にすると失敗すると思っています。
だから売上が伸びると、
「楽しんでもらえたのかな」
と思えて嬉しいのです。

2、自分のブランドがそのイベントの構成要素だと認識すること

自分が参加する側だけしか経験していなかった頃、参加するイベントを選ぶときに
「人が集まるイベントかどうか」
は大きな判断材料でした。
イベントの趣向が自分のブランドと会う合わないという観点もあるけれど、
やっぱり人が来るイベントじゃないと嫌だなぁと。
それは間違ってはいないけど、今は
「自分がお客さんを集められるブランドになれるよう尽力しよう」
と思っています。
用意された場所で、上げ膳据膳で、自分の商品がピョイっと行って、売れなくて、
「このイベント、全然だめじゃん」
なんて思うのは、お門違いだなと。
それより自分がお客さんをワクワクさせられていないことに気づいて改善しようと考えたほうが、みんなにとっていいんじゃないかと思うわけです。

ただ、私も人間。
すべてのイベントに出られる体力は持ち合わせていません。
主催者さんがどういう意図でそのイベントをやっているのかを聞いて、共感できたイベントに参加しています。
やっぱり一緒に仕事をする上で、同じ方向を向けることは大切だと思う。

3、自分の力じゃないと理解する

イベントや催事でたくさんの方がお菓子を手に取ってくださると、正直嬉しい。
お口に合うか心配だけど、そりゃー嬉しいさ。
でもそこで勘違いしちゃいけないなと思うわけです。
お客さんが楽しんでくれるような商品開発をすることは、製造側として当たり前のこと。
その上で、イベントや催事ではスタッフさんが陳列販売をしてくれて、主催者さん達が広告をしてくれる。
製造に使う原材料を生産し届けてくれる方がいる。
お店では、私の場合、家族やチャリカさんがお店番をしてくれる。
もっと言えば、応援してくれる義理の家族やお客さん、SNSをみてくれている方がいる。
それらがなかったら、製造できないし、お客さんには届かないし、広がっていかないわけです。
私自身、忙しさを理由にふとそれを忘れてしまう瞬間があります、実は。
マーケットや催事で楽しめているのも、みなさんのおかげ。
この事実をしっかりと受け止めて参加したいなと思っています。

そして次は催事とマーケットの違うところ。
(催事は運営会社とデパートや商業施設側と出展者で行われるもの、マーケットは運営と出展者のみのもの、としています。)
私の中で大きな違いはこれ。


マーケットは個人競技、催事は団体競技

端的に言うとこの言葉に集約されると思います。

例えば、マーケットの多くは自分で接客をして、自由に商品を並べます。
極端な話、お客さんが楽しい気持ちになれる空間が提供出来ているなら売上が上がらなくてもOK。
それはマーケットは最初に参加費を払って、売上に応じた支払いが発生しないタイプが大多数だから。
売上が上がらなくても、しょぼんとするのは作り手だけ。
つまり
マーケットの参加費 = 運営側の広告集客代金 + 出店場所代金
って事なんだろう。

一方、催事は売上の何%かが参加費となることがほとんど。(参加費が別途発生する場合もある)
運営側が陳列、レジなどを運やってくれる分、売上に応じた代金を支払うと言うシステムです。
裏を返すと、売上を上げないと(集客できないと)運営側や場所を提供してくれている商業施設の利益も生まれないので、
「売れなくても自分の利益が少ないだけだからいいや。」
なんて言い訳は通用しません。
もちろん製造側の力だけではなくて、現場でがんばってくれているスタッフさんや運営さんの力あっての催事。
そして頑張ってもうまくいかないこともあるし、特に私は思い切りがよすぎて大コケすることもあるし、もちろん売り上げが全てではないけれど、
そういう観点をもつことは大切だと思っています。

ここからは、蛇足。
私は2年前くらいまで、売上を上げて運営側に貢献しないとという気持ちが空回りして、とても苦しい時を過ごしました。
ブログをご覧の方はご存知の通り、私の趣味趣向は王道から外れているし、
「あたしゃ、これを作りたいんだ」
という頑固さもあって、マーケットではお客さんの笑顔が見られても、催事では売上が伸びない(つまり喜んでくれている人数が少ない)。
単純に製造能力が低いことも原因の一つですが、
【私が作りたいもの】と【一般の皆さんに喜ばれるもの】のギャップを痛感しました。

でもお店を構えることが決まり、オリジナルのパッケージなどを作るようになり、全体の商品構成を考えるようになり、催事の主催者さんにも色々とお話を伺い、一人製造でも効率よく作れるラインナップを意識するようになり、
やっとそこでお客さん側の視点を意識できるようになりました。
一歩一歩、時間がかかりましたが、
「お客さんに喜ばれて、かつ自分が作りたいものがピタッとくるものを模索しよう!」
と心から思えたのはこの1.5年くらい。

またお店を開く前のお客さんはマーケットでのお客さんだったので、
「珍しいものを求めている方」が多かったように思います。
ただ催事や住宅地のお菓子屋にいらっしゃるお客さんは
「普段使いできるものや誰に出しても喜ばれるものを求めている方」も多いように感じています。

自分が作りたいものと、お客さんが喜ぶもののマッチング。
それはたぶん私が一生模索していくことなんだろうと思っています。
まだバチッときてはいませんが、お店を開けてから1年で、少しづつ溝は埋められてきたんじゃないかと。

今回のパンタスティック!! @広島パルコでも、その ” 少し溝が埋まった感覚 ”をがありました。
ラインナップを少し変えて、ブリオッシュたちをがっつり推してみるの巻。
来場者も多く、運営さんやスタッフさんや主催者さんの力があって、結果的に昨年比2.4倍の売り上げになりました。
ほんと少しだけだけど、まだまだ甘いけど、
「みなさんのおかげで少しは貢献できるようになったかも。」
と思って、涙ぐんだ夜がありましたとさ。
正直、ホッとしたよー!

あるときにはこの主催者さんに
「ゆいさん、メンタル強いもんね?」
といわれたほど、自他共に認めるメンタルの強さですが、達成感や感動にはちょっと弱めです。
私にとって催事は苦手な分野でしたが、苦手だと思ったことには積極的にチャレンジしたい性分が相まって、一歩ずつ前に進んでる実感があります。
苦手意識は自分が作り出すもの。
もう私の中で催事への苦手意識はなくなりました。
自称、催事マスターめざしてがんばるぞー。


普段、人にほとんど相談をしない私がこの先のことをぽろっと話した時に違う風を吹き込んでくれたり、
お店を構える前から生暖かく見守ってくれているパンタスティック!!主催者のじんそん(勝手につけたあだ名)、
私はとても感謝しているよ!



やっぱり不器用でも回り道でも、よく考えて、よく観察して、よく話を聞いて、真剣に続けていたら見えてくるものがあるんだなと思っています。
つまりはそれにかける情熱が肝心。
私の場合は好きでやっていることなので自然と情熱的になってしまうのですが。
そしてもがいた分だけ、そこを抜けた時の達成感は格別だね。
何より楽しいね。

というわけで、マーケットと催事は私にとって似て非なるもの。
どっちも楽しい、どっちもやりがいがある。
これからも両方を楽しんでいきたいと思っております。