【小さな商い】

先日出した「焼きそばケーキ」の焼く前のお写真。
コロナが急に猛威をふるいだし、近くのお祭りが続々と延期になり、明るい話題がないと思ったので、
笑っちゃうネタを提供したかったのです。
「あいつ、またおかしなことやってるよー」
って思ってもらえたなら本望。
ちなみに味はあまじょっぱい系で、美味しいからご安心を。
紅生姜は台湾の紅麹を使った自作です。
真面目にアホやる
これ、私の座右の銘。

今日はこのお菓子を作った時のお話。
Instagramのストーリーに
「ほんとはヤキソバンってネーミングにしたかったけど、商標権に引っかかるからぐっと我慢した」
と言う内容をあげました。
半分はネタ、半分は本気。
私と同年代以上の方にはわかるかなと思うのですが、昔カップ焼きそばのCMでマイケル富岡さんがヤキソバンというキャラクターに扮していて、それが当時子供だった私達の間で流行ったのです。

実際には商標権や著作権に抵触しない事は承知していましたが、私の中でそれらの法律は
「他人のふんどしで相撲を取るな」
という事だと捉えているので、ヤキソバンを名乗るのはなしだなと。
他の事業者が時間とエネルギーとお金をかけて作り上げたものを
「これいいじゃん」
と上っ面を掻っかっさらうことは物作りをしている身としてはしたくない。

少し前に鬼滅の刃のキャラクターケーキを製造販売していたパティシエさんが著作権侵害で書類送検されたというニュースがありました。
個人的にはそりゃそうだと思いましたが、世の中にはそこまで考えずにやってるお菓子屋さんやパン屋さんが多いという悲しい現実もあります。

どう見たってアンパンマンだよなってパンとか、
ディズニーキャラのアイシングクッキーとか、
アニメキャラの布地で作ったハンドメイドバックなどが販売されているところを、誰しも見た事があると思う。
(もちろん自分の子供のためとか、友人の子供のためとか、利益を得るためじゃない範囲で作るのはOK)
昭和の時代ならわかる。
しかし悲しいかな、令和でもまだまだある。
おそらく著作権うんぬんまで考えが至らないか、法律を知らなくて(勉強していなくて)、お客さんに喜んでもらおうと作って販売してるんだろうけど、
プロであろうとシロウトであろうと何かを作って販売してお代をいただいている立場として、
「知らなかった」
では通らない。
喜んでもらいたい気持ちはすごく分かるけれど、手段を間違えているよなぁと。
(お客さん側としても「子供が好きなスティッチのケーキを作ってください」みたいなオーダーをしちゃいけないんだけどね)


例えば東京オリンピックのロゴのパクり疑惑がでた時にはみんな言語道断だと思ったはずで、
それがダメなのにこれがよしとされる(見て見ぬふりをされる)理由って何だろうと考えたら、
小さなお店だから
が言い訳になってるのかなと。

私は極小お菓子屋ですが、国が定める法律や規則は当然のこととして遵守したい。
なぜなら消費者から見たら、大きなお店も小さなお店も同じ「お菓子を製造販売するお店」だから。
私は誠実に、真っ当に、このお菓子屋を続けていきたい。
「小さなお店だから勘弁してよ」
みたいな言い訳をしたくないという私の負けん気の強さが滲み出てますな。

中には
「小さなお店は例外として、これをやらなくてもOK」
みたいな項目もあるわけですが(商品裏面の栄養成分表の項目省略とか、パッケージの材質表示とか)
手に取るお客さん視点に立てば、手間と時間をかけてでもやっておいた方がいいことに違いない。
渉がお菓子メーカーのお仕事をした時に基礎知識をつけて指摘してくれたおかげで、スムーズに進められました。
サンキュー、渉!

とはいえ、私も知らないことだらけなので、同じような失敗をしてしまう可能性もある。
何かやる時にはきちんと自分で調べること、分からないことがある時はプロに聞くこと。
肝に銘じています。


ちなみに「TSUCURITE」を商標登録したのは、お店を構える少し前、お菓子屋で生計立てるぞと覚悟を決めた時です。
渉の
「登録しといたら?」
をきっかけに考えて、お菓子、お菓子の素、コーヒーなどのカテゴリーで登録しました。

理由は
他のお店が先に登録して、使えなくなったら困るから
大手は店名やブランドを開業前に商標登録するので、私の知らないところで
「次に展開するお菓子ブランドの名前はTSUCURITEにしましょう」
なんて登録されてしまったら、私は屋号を変えざるを得なくなるからね。
(私が登録しようと思った時点で他の人が登録してたら屋号を変えなきゃいけなかったかと思うとゾッとします)

お金と労力はかかるけど、長い目で見たら登録してよかった。
自分のお店やブランドを持っている方でまだ見たことがない方はいちどチェックをおすすめします。(商標登録 検索 とググれば簡単に検索できるHPに辿り着きます)

私が開業するきっかけとなったマルシェやマーケットが日本人の生活にも定着して、
個人が小さな商いを始める機会が増えて嬉しい一方、
それらには責任が伴うということを肝に銘じていざ進まん、と改めて思うの巻。